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お遍路日記

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2016年05月08日

涅槃の境地へ〜其の六拾弐、心変われば〜


ゴールデンウィークはお休みを頂き英気を養いました吉田です。
早速ですが、そんな充電期間を経て連休終盤より九八62番「密厳山 誕生院ご一行様」で添乗させて頂きました。
今回の団参は『覚鑁聖人ゆかりの地を巡る旅』と題して、真言宗中興の祖である覚鑁聖人・興教大師様ゆかりの寺院を参拝致しました。
真言宗18本山の内、今回の旅では5つの本山を参らせてもらうという特別な2泊3日でもありました。

≪1日目≫
JRを乗り継いで京都まで行き、京都よりバスでまず最初に伺ったのは【仁和寺】でした。
覚鑁聖人が13歳の時に出家得度されたお寺で、御室派総本山でもあります。
お昼過ぎの到着で腹ごしらえをして、僧侶の方のご案内とともに参拝し、特別期間で金堂なども一般公開されていたのもあり充実したお参りが出来ました。
続いて智山派総本山【智積院】へと参拝し、名勝庭園や国宝の障壁画などに目を奪われながらお参り致しました。
その晩は京都市内で一泊して旅の疲れを癒しました。

≪2日目≫
京都を発って今度は奈良へと移動し、花の寺としても有名な豊山派総本山【長谷寺】へ伺いました。
吉田家菩提寺の本山でもある長谷寺には、個人的ではありますが特別な想いを持って参りました。
誕生院様ともご縁の深いお寺ということもあり、非常に丁寧なご案内とともに普段は入ることの出来ない場所でお茶やご法話のお接待を頂いたり、ご本尊さんも間近で拝ませてもらったりしました。

何よりも私が感動したのは“復興の鐘”でした。
全文抜粋してご紹介させて頂きたいと思います。


長谷寺にて、復興の鐘

『平成二十八年四月十四日に発生した熊本大地震は、九州各地に甚大な被害をもたらしました。長谷寺では、震災により命を落とされた方々を弔うため、また被災地の一日も早い復興を願うため、山内の僧侶のみ打つことを許可されている梵鐘を、ご参拝の方にも開放いたします。鐘を打つ時は合掌をして、祈りを捧げ、御霊の鎮魂と被災地の迅速な復興を祈念いたしましょう。』

399段の回廊を上り切った所にこう記されて、梵鐘が打てるようになっていたのです。
私は思わず涙が溢れてきました。
祈るだけでは物質的には何も救えないと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、心は救えるのではないかと五感で理解出来るような体験でした。
合わせまして我が家の本山は素晴らしいことを試みていて、本当に誇りに思えたのと同時に、ご先祖様への感謝の想いが改めて生まれました。

そんな感動的な体験をさせて頂いた後、門前で昼食を食べて和歌山へ向けて出発致しました。
今度は新義真言宗総本山であり、覚鑁聖人開山にして覚鑁さんのお墓もある【根来寺】へと足を進めました。


根来寺にて、国宝の大塔

本坊でのお茶のお接待や、国宝の大塔などを時間一杯たっぷりと参拝した後は、高野山へ向けてバスは揺れていきました。
山内に着く頃には日も暮れてきて、下界とは打ってかわってひんやりとしており、そんな神聖な空気が漂う【密厳院】宿坊で一夜を明かしました。

≪3日目≫
聖人様が高野山におられる時に、お住まいになられていた密厳院を出発すると、まずは弘法大師様のいらっしゃる【奥の院】へと伺いました。
参道に入ると、聖人修行の地である【密厳堂】にて手を合わせて先へ進みました。


覚鑁聖人修行の場、密厳堂

ここでは三年にも及ぶ一切しゃべらない“無言行”を行ったそうです。
余談ですが、うちの嫁はしゃべらないとストレスが溜まる人間らしいので、今度喧嘩した時は覚鑁さんを見習うように薦めてみようかと思います(苦笑)

話を元に戻しまして、お後は【御廟】へと伺っていきました。
地下法場へ進んでいくと、「よく来たな」とお大師さんが語りかけてくれたような不思議な気配を感じ、また涙を誘いました。
御廟を出るとバスの待つ中の橋駐車場へと歩いて行き、お次は高野山真言宗総本山【金剛峯寺】に参拝しました。
宗務的な一切を取り仕切る本山を後にすると、今回の旅で最後の参拝場所である【壇上伽藍】へ向かいました。
根来寺大塔もその形式を受け継いだと伝わる【根本大塔】を主にお参りして、3日間の参拝を無事終了することが出来ました。
山内で昼食とお買い物をしっかりして、下山後は新大阪駅を目指して行きました。
特別な渋滞もなく非常にスムーズに進み、JRを乗り継ぎ佐賀・鹿島の地へと帰って行きました。

普段は出来ないような貴重な体験を沢山させて頂いたことに深く感謝致しております。
何となく昔から京都の華やかさより奈良の静寂が好みの私でしたが、それは海が無く東京・埼玉のギャップと似ているせいかと思っていました。
しかしそんな奈良には自分の菩提寺の本山があるという事実には、運命的なものを感じております。
私の師とも兄とも呼べる人が「全部繋がってるんよ」と良く言われていますが、まさにそういうことなのかもしれません。
これからも一日一日を大切にしていこうかと思っております。






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